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学長・学部長挨拶

岩手保健医療大学 学長
清水 哲郎

「岩手保健医療大学」
 開学にあたって

 岩手保健医療大学が、2017年4月に開学しました。開学に到るまで尽力していただいた皆様、見守り、折に触れて励ましてくださった皆様に感謝しつつ、大学の教職員一同と共に、第一期入学生を迎えて、大いなる喜びを胸に新たな歩みを始めます。

 さて、私は学長として赴任いたしましたが、看護学の専門家でも医学の専門家でもありません。本来は哲学・倫理学を専門とする研究者でした。それが、1980年代半ばから、患者の家族として医療に携わる皆さまと交流するようになり、医療現場におけるさまざまな具体的問題について皆さまとご一緒に考えるようになりました。

 90年代はこの活動を「医療現場に臨む哲学」と呼んでいましたが、やがて「臨床倫理」に力を入れるようになったのです。「臨床倫理」は医療現場でケア従事者が患者本人や家族と一緒に医療を進めていく上で起きてくる問題について「どうするのがよいか」と考える営みです。ケアに携わる方たちは、患者本人やその家族に接し、医学的にはどうなのかを踏まえ、本人の気持ち、家族の気持ちを受け止めつつ、本人にとっての最善を実現することを目指して、どう対応していこうかと考えることになります。ですから臨床倫理は個別の事例について考える際の要なのです。

 将来看護師になろうとする学生の皆さまは、看護学を中心に学んでいくわけですが、その教育課程にこれまでの活動を通して得たことを織り込ませていただきました。「ケア・スピリット」という語を造って本学の特徴の一つとしたのも、その一環です。この語は文字通りには「ケアする精神」ですが、これをもって看護師の内に活きて働く臨床倫理を表現したいです。

 この度岩手で働くことになって、私が最初に思い浮かべたのは宮沢賢治の「雨にも負けず、風にも負けず」でした。岩手あるいはイーハトーブに根をおろして、人々と共に生き、雨や風には耐えるけれども日照りの夏には皆と一緒に「おろおろ」する人、「東に病気の子どもがいたら、行って看病し」、「南に死にそうな人がいたら、行って怖がらなくても良いと言い」等々と活動する人を思い浮かべました。そして、私はその姿に本学で学ぶ学生の未来の姿を重ね合わせたのです。被災地の復興もまだまだこれからの課題です。本学から岩手またその周辺の地に「行って」活動する看護師・保健師が輩出するようになることを願っています。

岩手保健医療大学 看護学部長
濱中 喜代

看護の道を
志そうとする皆さんへ

 まず、たくさんの職種の中から看護の道を志そうとすること、大変すばらしいことだと思います。私が看護の道に入ったのは45年以上前になります。当時11校しかなかった看護系大学で学んでいくなかで、看護の大変さとともに自分が活かされると実感したことを、今でも鮮明に覚えています。

 看護界を取り巻く環境は今大きく変わり、求められる知識・技術や役割も多様になり、社会情勢の変化に対応するには、以前にも増して自立して問題解決することが求められます。
看護は、命を守り、生活過程を整えることを基本とし、相手の人生にも関わるお仕事です。また看護の対象は生まれたばかりの赤ちゃんから、高齢の方までと広範囲で、健康な方も病気の方も、さらにその家族など周囲の人々も含まれます。相手に寄り添い、ケア・スピリット(自ら進んでケアしようとする姿勢)を発揮するには、人間力と看護実践力が不可欠になります。

 本学では、幅広い教養と看護のコアとなる知識・技術とケア・スピリットが身につくよう、丁寧に教育します。また地元の病院との連携のもとで確かな看護実践力を培います。
 本学は、岩手県においては19年ぶりに新設された看護系大学です。優れた専門性や高い実践力を有する教授陣を核に、地元の看護教育さらには看護の質の向上のために新風を起こすとともに、地域に根ざした大学を創ります。
 学生一人一人を大切に、柔軟で時代の要請に対応した看護教育を丁寧に行い、4年間の学生支援プログラムを通して、キャリア形成ができることを目指します。
 広い岩手の中で岩手の人に育ててもらい、地元の看護に誇りを持ち、地元で活躍する看護師・保健師を育てたいと願っています。看護は看護する人を豊かにする素晴らしさがあります。人として豊かな人生を送れるような資質を大学時代に育み、生涯において実現できるような力を培います。

 パイオニア精神をもって、本学の素晴らしい歴史の一頁を一緒に綴っていきましょう。