臨床倫理研究センター
本センターは、「建学の精神であるケア・スピリットを中心に臨床における倫理の在り方を研究し、大学の看護学教育や臨床現場における保健・医療系教育に貢献する」ことを目的に令和3(2021)年度に活動を開始しました。
活動:研究・開発および成果の社会還元
現在、本センターは次のような活動を行っています。
- 臨床倫理(看護実践の倫理を含む)の理論と実践の研究
- 科学研究費補助金(基盤A~2021、基盤B2022~)により、人間関係《皆一緒》と《人それぞれ》のブレンドのあり方に関する社会的要請として倫理一般を理解した上で、医療・ケア従事者の臨床倫理の理論をブラッシュアップし、医療・ケアの質の向上につなげようとしています。
- 超高齢社会にあって、高齢者の人生の最終段階を快適に充実したものとするための理論的・実践的検討をしています。
- ケア・スピリットと倫理的姿勢、ケアの倫理及び徳倫理との関連の研究と、研究成果を看護職者の生涯にわたる研修に応用する成果物の研究開発
- 本学の建学の精神の核となる《ケア・スピリット》をケアに臨む様々な倫理的姿勢を包括する姿勢として、倫理原則、ケアの倫理、徳倫理と関連させながら説明しています。
- ケア・スピリットは、看護職者をはじめとする医療・ケア従事者の生涯を通じて成長し、豊かになり、熟達した看護者の優れたあり方の核心をなすものであることを提示しようとしています。
- 上記研究成果に基づく、本学の教育への反映、および地域の医療・ケア実践に貢献する諸活動
- 本学の5つの授業科目に統一テキストを作成し、ケア・スピリットを含む倫理教育の組込みを進めています。
- 本学の公開講座に参加、本センターとして懇話会を開催しています(より詳しくは以下をご覧ください)。
- 〔New!〕動画シリーズ「臨床倫理の基礎」を公開し、研究成果の臨床現場への還元を図っています。
- 各種研修会、学会招待講演等により、臨床倫理-ケア・スピリットに関する成果を社会に普及・還元しようとしています。
臨床倫理研究センター懇話会
地域の医療・ケア従事者のみなさまと臨床倫理研究センター長との懇話会を開催しています。この会では、参加者のご希望に応じてテーマを選び、臨床現場から事例を提供していただいたり、臨床倫理研究センター長が話題提供をし、ご一緒に検討することをとおして、医療・ケアの質の向上を目指します。
岩手保健医療大学 臨床倫理研究センター懇話会は、昨年度は試行的に6回実施いたしましたが、これを踏まえて、今年度もいくつかテーマを選び、1シリーズ3回ないし4回のオンラインミーティングを3ないし4シリーズに亘って実施する予定です(内1シリーズは実施済)。皆さま、よろしければ気軽にご参加ください。次に、実施済みの「緩和ケア」の考え方をテーマとしたシリーズについてご紹介しておきます。
本シリーズが目指すのは、医療の諸領域(診療科)が従来行ってきている治療やプライマリー・ヘルスケアへの「緩和ケアの統合」についてのWHOの考え方を解明することです。WHOは、2018年にいくつかの文書を刊行して、「緩和ケアの・・・・医療への統合」を提唱しましたが、その中身を適切に理解することが日本の現在の緩和ケアのこれから進む道を考えるために重要だと思われます。
すでにWHOは1990年に緩和ケアの定義を提示し(この時点ではがん治療を念頭にしている)、2002年にそれを改訂して、非がん疾患にも適用できる定義にし、かつ、緩和ケアが対応する問題の「早期発見」と「予防」という面を付加したのでした。今でも緩和ケアの定義というと、WHO2002年版が多く引用されます。しかし、2018年の諸文書に見られる緩和ケアの定義には、2002年以降のWHOの考え方の展開が反映されており、緩和ケアとその他の医療諸領域の結び付きなど、学ぶべきところがあります。
そこで、次に示す3回の懇話会を通して、WHOの定義の変遷を見直しつつより立ち入った検討を行います。
- 第1回 懇話会
2023年7月5日(水)18:40~20:10- 〔テーマ〕WHOによる定義:1990年版と2002年版 〔資料〕
- 第2回 懇話会
2023年7月19日(水)18:40~20:10- 〔テーマ〕WHOによる定義:2002年版と2018年諸文書 〔資料〕
- 第3回 懇話会
2023年8月2日(水)18:40~20:10- 〔テーマ〕緩和ケアを医療の各領域に「統合する」ということ 〔資料〕
懇話会・公開講座 実績
臨床倫理研究センターに関するお問い合わせ
岩手保健医療大学 臨床倫理研究センター事務局
メール:cleth-c★iwate-uhms.ac.jp
(メールを送信される場合は★を@にしてください)